学校を卒業後、約3年以内に転職する第二新卒者の離職率を取り巻く現状や、雇用のミスマッチ。これからの日本社会の生産性を上げるために、第二新卒者の就職や雇用、労働を取り巻く環境と心構えについて考えていきます。
第二新卒者の離職率の現状と早期離職の原因
厚生労働省の発表によると卒業後、三年以内に離職した人の割合は中学卒で約7割、高校卒で4割、短大卒で約4割、大学卒で約3割となっており、これだけ多くの人が三年以内に離職してしまうという現実があります。また「人間関係が最悪だった」、「社会保険の加入がなかった」などの退職理由もよく耳にするものです。
この離職率のデータはあくまでも平均的なもので、会社の規模や業界によっても離職率には違いがあります。企業規模5人未満だと離職率約6割、1000人以上だと約2割と、規模が大きければ大きいほど離職率が低くなるという傾向もあります。
やはり中小企業は給料が低い、研修制度が整っていない、社会保険が完備されていないなどが主な理由ですが、最近は福利厚生にこだわる人も多いようです。
また業界別でも3年以内の離職率は建設業3割、製造業約2割、電気、ガスなどのインフラは約7%などに比べて、生活関連サービスは約5割、宿泊、飲食業は約5割と離職率が高くなる傾向があります。
サービス業全般に言えることとしては、給料が低い、シフト制、深夜勤務、サービス残業が多い、休みが少ない、など基本的に労働条件が厳しい傾向があることも離職率の高さに拍車を掛けています。更に仕事の特性上、土日が休みでないことも大きな原因となっているようです。
「仕事が合わない」、「残業が多くて疲れが取れない」
最近は売り手市場とは言え、苦労して新卒で入った会社を「面接で聞いていた仕事内容とは違う」、「残業が多かった」、「休みがなかった」、「試用期間は時給制だった」など、労働条件が違ったという理由で早期離職する人が増えています。
就職活動では、自己分析、求人の選定、応募、数回の面接など、採用までの道程が長期に渡るものとなります。第二新卒者の場合は既卒扱いのため、採用スケジュールは比較的短くなる傾向がありますが、せっかく苦労して入った会社、やっと内定を得た会社を簡単に辞めてしまうのはやはり残念なことです。
就職活動では前向きな姿勢と仕事を継続する強い意思が必要
第二新卒者の転職活動について言えるのは「転職する自分を否定する必要はない」ということです。前回の「求人先選び」、「職場の環境が悪かった」だけのことなのです。新卒時に入社した会社を辞めたことが、再就職時に不利になることはありません。
しかし、入社した会社を半年で辞めた、次に入社して入った会社も1年で辞めた、といったことを続けていると、転職活動はどんどん不利になってきます。次の会社は早期離職せずにしっかり長く勤める必要があると考えて、真剣に就職活動を行ってください。
石の上にも三年という言葉があるように、やはり企業側としては一つの会社に最低でも3年程度勤めている人を評価する傾向があります。もちろん一度卒業して就職したら、次の就職活動では履歴書の他に職務経歴書の提出を求められます。
今まで書いたことがない、書き方がわからない、そんな不安がある方は卒業した後のキャリアセンターやハローワークのコンサルタント、就活支援をしているコンサルタントに相談すると良いでしょう。最近は卒業生の就職をサポートしている学校も多いのでそれらも活用しましょう。
また求人情報は広く集めることが大切ですので、一定のキャリアがある人は人材紹介会社に登録することも考慮に入れてください。
転職時には雇用のミスマッチに気をつけて企業を選ぶ
先に「転職する自分を否定する必要はない」と述べましたが、ただ単に会社選びや職場環境が悪かったことだけが退職の原因でしょうか。「自分がやりたいこと」、「何ができるのか」、「何がしたいのか」、「能力が会社から求められている人材であるか」どうかを把握せずに就職したことで起こる、「雇用のミスマッチ」も大きな原因となります。
たとえば、企業側が採用する人材に求めるものとして、近年は「コミュニケーション能力の高さ」が上位にあげられることが多くなっています。IT社会の今、パソコンやスマートフォン一つでなんでも出来てしまう時代ですから、中には全く人と会話をしなくても出来る仕事もあります。
しかし人とコミュニケーションを取ることを苦手な人が、対人コミュニケーションを必須とする営業職や販売職などの接客業に応募したらどうでしょうか。このような雇用のミスマッチは、離職率の高さにつながる原因となっています。
入れる会社に入る、給与の良い会社に入ることも大事ですが、やはり生涯の大半を過ごす場所になるわけですから、自分が続けていける会社に入ることが最も重要です。
まとめ
グローバル化社会や少子高齢化で労働人口が減少していくこれからの日本にとって、若者の労働力は日本の生産社会を維持していくために必要不可欠なものです。臆すること無く自分の価値をアピールしていきましょう!